妻と胎児のみの場合、相続はどうなる?
―知らないと困る「胎児の相続権」と実務の注意点―
相続は、家族構成や状況によって大きく変わります。特に「妻が妊娠しており、他に子どもがいない」ケースでは、相続の仕組みを正しく理解していないと、大きな勘違いやトラブルを招くことがあります。
今回は、夫が亡くなり、相続人が「妻と胎児のみ」の場合、相続はどうなるのか?
法律の原則から実務上の注意点まで、わかりやすく解説します。
■ 胎児も相続人になれる?
結論から言うと、
胎児は「生まれたもの」として扱われ、相続権が認められます。
民法では、次のように定められています。
胎児は、相続については既に生まれたものとみなす。
つまり、胎児は“将来生まれれば”相続人として計算されます。
そのため、相続手続きは「子が1人いるもの」として扱われるのが原則です。
■ 妻と胎児のみの相続割合
夫が亡くなり、相続人が 妻・胎児(子) の場合、
相続分は次のとおりです。
- 妻:1/2
- 子(胎児):1/2
他に子どもがいなければ、この割合で確定します。
ただし、実際に胎児が出生して、はじめて相続が確定 します。
■ 胎児が生まれる前に相続手続きはできる?
ここで多くの方が迷うポイントです。
● 基本的に、出生するまで「確定」した手続きはできない
胎児が無事に生まれるかどうかで、
・子が相続人になるのか
・妻が全額を相続するのか
が変わってしまうためです。
実務としては、
出生後に相続手続き(銀行解約・不動産名義変更など)を行う
という運用になります。
● どうしても急ぐ場合は?
銀行によっては、
「胎児がいることを書面で申請し、出生後に清算する」
という方法を認めることがあります。
しかし、相続財産の分割協議書は出生後でなければ作れません。
■ 胎児が死産だった場合の取り扱い
法律がみなす「胎児の相続権」は、
生きて生まれてくることを前提としています。
そのため、もし残念ながら死産となった場合は、
- 「子は存在しなかった」として扱われる
- 妻が 全額 を相続する
ことになります。
■ 実務上の注意点
胎児が相続人になる場合、次の点でトラブルが起きやすいです。
▼ ① 葬儀費用の負担
相続財産から出すことが原則ですが、胎児の出生前は手続きが止まることが多く、妻の立替が必要なこともあります。
▼ ② 不動産の名義変更
出生後でないと法務局は手続きを受け付けません。
そのため、売却や転居の予定がある場合はスケジュールに注意。
▼ ③ 相続放棄は子が生まれてから
胎児のうちに「相続放棄」はできません。
生まれた後でないと、法律上の行為ができないためです。
妻だけが先に放棄することはできますが、基本的には出生後に全体の整理を行います。
▼ ④ 出生後の分割協議
出生後に家族で話し合い、協議書を作成します。
胎児(子)は未成年のため、母親が代理します。
■ トラブルを防ぐ方法
胎児がいる相続は、専門家でも判断に迷う場面が多く、
実務では次のようなサポートが必要になります。
- 出生前にできる手続きと、出生後に行う手続きの整理
- 銀行・法務局への事前調整
- 財産の一時凍結への対応
- 葬儀費用や生活費などの支出についての法的整理
特に妻が妊娠中の場合、精神的にも非常に負担が大きいため、
行政書士など専門家が伴走するメリットは大きいです。
■ まとめ
「妻と胎児のみ」の相続は、法律上の扱いが特別であり、
出生前と出生後で手続きが大きく変わるため、慎重な対応が必要です。
- 胎児には相続権がある(出生が前提)
- 妻と胎児の相続割合は 1/2ずつ
- 実務では出生後でないと手続きが完了しない
- 死産の場合、妻が全額相続する
- 早めに専門家へ相談すると安心
万が一のときに、残された妻と子の生活を守るためにも、
正しい知識と適切な準備が欠かせません。
相続で不安なことがあれば、尼崎市を中心にしております行政書士室井実事務所にぜひお気軽にご相談ください。
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