おひとりさまの相続対策
〜相続人がいない場合の仕組みと財産を残す方法〜
行政書士室井実事務所
近年、「おひとりさま」という言葉が一般的になりつつあります。結婚をせず、子どもを持たず、あるいは配偶者や家族に先立たれて一人暮らしをされている方も多くいらっしゃいます。そのような方にとって、「自分に万一のことがあったら、財産はどうなるのか」「誰が手続きをしてくれるのか」という不安は、とても現実的な問題です。今回は、相続人がいない場合の仕組みと、財産を自分の意思で残すための方法について、行政書士の立場から分かりやすくご説明いたします。
■ 相続人がいないとどうなるのか
通常、亡くなった方の財産は、配偶者や子、兄弟姉妹などの相続人に引き継がれます。
しかし、相続人が誰もいない場合には、その財産は一時的に「相続財産法人」として扱われ、家庭裁判所が選任する「相続財産管理人」が財産を管理・清算します。
この管理人は、債権者(借金のある相手)や、特別縁故者(生前に世話をした人など)への分配を行い、それでも残った財産がある場合、最終的には国庫に帰属します。つまり、何も手続きをしなければ、自分の財産は国のものになってしまうということです。
これは決して悪いことではありませんが、「せっかく築いた財産を、世話になった人や地域、団体のために使ってほしい」と考える方にとっては、非常にもったいない結果になってしまいます。
■ 財産を自分の意思で残すには「遺言書」が有効
おひとりさまが自分の意思で財産の行き先を決める最も確実な方法は、遺言書の作成です。
遺言書があれば、相続人がいなくても、その内容に基づいて財産を譲ることができます。
たとえば、
- 長年お世話になった友人に預金の一部を贈る
- 面倒を見てくれた介護施設に寄付する
- 故郷の自治体や公益法人に寄付する
- 永代供養やお墓の維持費を指定する
といった形で、自分の思いを「かたち」にすることができます。
特に、おひとりさまの場合は、誰が手続きをしてくれるのかが大きな問題になります。
遺言書の中で、「遺言執行者」を指定しておけば、その人が実際の手続きを行ってくれるため、亡くなった後の混乱を防ぐことができます。行政書士や弁護士など、専門家を指定することも可能です。
■ 相続人不存在でも「特別縁故者」が受け取れる場合
もし遺言がなくても、相続人がいない場合に「特別縁故者」と認められると、家庭裁判所の判断で財産の一部を受け取ることができます。
特別縁故者とは、
- 長年同居していた方
- 生前の療養看護に尽力した方
- 財産の維持に貢献した方
などです。
ただし、特別縁故者の申立てには期限があり、また認められるには多くの証拠や手続きが必要です。
この手続きは法律知識を要するため、専門家である行政書士がサポートすることで、スムーズに進められるケースが多いです。
■ 行政書士によるサポート内容
行政書士室井実事務所では、以下のようなサポートを行っています。
- 遺言書の作成支援(自筆証書・公正証書どちらも対応)
- 相続財産の調査・整理
- 相続財産管理人・遺言執行者の選任手続き支援
- 寄付・遺贈のための書類作成
- 特別縁故者による申立て書類の作成
これらの手続きを通じて、「もしものときに、あなたの思いが正しく実現される」ようサポートいたします。
■ 心配を安心へ
おひとりさまの相続は、家族のある方とは異なる課題を抱えています。
「自分には関係ない」と思っていても、突然の入院や認知機能の低下によって、判断能力を失うこともあり得ます。そうなる前にこそ、元気なうちに、落ち着いた気持ちで準備をしておくことが大切です。
行政書士室井実事務所では、相談者さま一人ひとりのご事情に合わせて、分かりやすく丁寧に対応いたします。
相続人がいないからといって、財産や想いが消えるわけではありません。正しく準備すれば、「自分の意思を未来へ残す」ことができます。
不安を感じたときこそ、専門家にご相談ください。
心配を安心に変えるお手伝いを、行政書士室井実事務所が誠実にサポートいたします。